新年を記念して短いSSをうp。まつろわです。
まつろわぬ日々(リリカルなのは・クロノ転生)
3-2.5 「魔法少女リリカル☆なのは」
Side Nanoha
「うーん……」
アースラにあてがわれた一室。
その中で、わたしこと高町なのはは姿見の鏡を前に、バリアジャケット姿で少々ある考え事をしていました。
というのも、改めていま自分が置かれている状況というものを見直してみた時。そのあまりの非常識っぷりを自覚してしまったのです。
ある日しゃべるフェレット(実は人間の男の子だった)と出会い、魔法が使えるようになった。
何やら危ない宝石を回収するお手伝いをすることに決めた。
フェイトちゃんという競争相手が現れた。
異世界のある組織からの介入があり、今はそのお手伝いをしている。
……完全に今までの常識に喧嘩を売っています。もうアニメやゲームの世界にいるような気さえしてきました。
このバリアジャケットというものも、どうにも魔法少女を地で行っているような気がしてなりません。まあ、デザインをしたのはわたしなんですが。
レイジングハートも杖の部分がピンクです。ユーノくんはこの色の杖を使っていたんでしょうか。聞くのが何だか怖い気がします……。
「やっぱり、どことなく前に見たアニメの魔法少女っぽいなぁ……」
くるっと一回転しつつ自分のコスチュームを注視します。
もとは学校の制服ではあるのですが、青いラインなんかも入っているせいか、少し俗っぽくなっているような……。かわいいけど。
「見れば見るほど、アニメで見たことがあるような気がしてきたの……」
レイジングハートみたいな杖をもって、衣装を変えて戦う魔法少女。カードを捕まえるストーリーのそんな作品があったような。
「………………」
いま、ちょっとした好奇心が湧いてきました。
先に言っておきますが、わたしは小学三年生の女の子であり、アニメやなんかもしっかり見ているのです。なので、そういった出来事に憧れることももちろんあります。今まさに自分がその渦中にいるということは置いておきます。現実とアニメの世界は別物なのです。
なので、こういった興味や好奇心を抱いても仕方がないのです。そう、わたしぐらいの子なら普通はやってみたくなるものです。うん、断じてそうです。だから問題ないのです。
「………………」
わたしは鏡の前で、口の中の唾液を呑み込み、覚悟を決めます。
そして、一気に行動を起こす―――!
バッと一本足でくるりと身体を回転、レイジングハートをバトンのように回転させて、それを軽く上に放り、それをちょっと飛びあがって受け止めると、勢いのままにゆっくりもう一回り。ふわりと長いスカートが風に舞う。
そして、鏡に向かってレイジングハートを構えて片目をつぶるポーズを決める!
「魔法少女リリカルなのは☆ 参上なの♪」
……………………
………………
…………
……は、
―――恥ずかしい! うわ、ものすごく恥ずかしいです!
鏡で自分の姿を見てしまったのが凄く効きました! あああ、なにやってるんでしょうかわたしは!
やっぱりこういうことはアニメの中だけにするべきなのです。現実にこんなことをしたらただ痛いだけです。実感しました。自分という失敗を踏まえて。
…………これは、もう二度とやりません。今回は魔が差しただけなのです。
幸い誰も見ていませんし、自分だけの秘密にしましょう。そうしましょう。でないと、わたし生きていけないです……。
熱くなる頬を自覚しながら、わたしは溜め息をついて姿見を移動させようと手をかけました。
ふと、何の気もなく姿見をもう一度見てみます。すると、ある事に気がつく。姿見はわたしの背後のスライドドアが僅かに開いているのを映していました。
あれ? スライドドアは基本的に一気に開いて閉じるはず。あえて操作しない限りは途中で止まったりはしない。
どうしてだろう、と後ろを振り返って―――、
「あ」
「え?」
扉の隙間からこちらを見ているクロノくんと、床に落ちているわたしのポーチがドアに挟まっているのが見えました。
どうやら、ポーチが挟まっていたのでドアが閉まらなかったようです。なるほど、操作していたわけじゃないんですねー。偶然でした。
「よ、よお、なのは」
うぃーんと音がしてドアが完全に開ききります。
にゃはは、つまりこれはわたしの不注意だったわけです。意図してドアを開けたわけではないということですね。
「……あ、あーその、だな。通りすがったら、何かアニメがどうとか言ってるのが聞こえてだな。ちらりと視線を移すとなのはがいて……」
と、いうわけでクロノくんに罪はないの。わたしの不注意だったんですから。
でもそれなら……。
「……ど、どうして、イデアは起動してるの?」
「は、はははは、さあ?」
ああ、もう現実逃避もここまでです。きっと今の私は真っ赤になってるに違いないです。もうマルチタスクを使って思考を誤魔化しても、冷静になんてなりきれません!
「ど、どどど、どうして、空中に、も、モニターが浮かんでいて、そこに“●REC”って書いてあるの?」
≪私はマスターに言われただけです≫
イデアの回答を聞きつつ、思わず声が震えます。心なしか、身体まで震えてきました。
わたしのその問いかけに、クロノくんは急に真面目な顔を見せました。
少しドキッとしたのは秘密です。今はそれよりも違う意味でドキドキなんですが!
そして、ついにクロノくんが口を開く―――!
「最高の……魔法少女ものだったぜ、リリカルなのは……」
同時に、グッとサムズアップをしてみせました。
「~~~~ッ!!! わ、忘れろなのぉお―――――ッ!!!!」
一瞬で体中が沸騰したかのように熱くなり、わたしは叫び、逃げ出したクロノくんを全速力で追いかける!
「認めたくないものだな! 自分自身の、若さゆえの過ちというものは!」
「言うななのぉ―――ッ!!」
もう身体中真っ赤でいると確信できる状態で、わたしは一心不乱にクロノくんを追いかける。
アースラの中を行ったり来たり、行ったり来たり……。まさかこんなところで鬼ごっこをする羽目になるなんて思わなかったの!
……結局、クロノくんは捕まりませんでした……。
でも、あの映像のことは誰にも言っていないみたいで、ちょっと安心です。でも、クロノくんはあの映像をどうしたんでしょうか。
こちらから聞くと藪蛇になりそうで聞きにいけません。
まあ、今のところ実害はないし、大丈夫かな。クロノくんは意地悪なところがあるみたいですが、本当に嫌がることはやらない人(エイミィさん談)らしいですし。
たぶん、そうです。きっと、恐らく、そうです。そうなんです。
クロノくん……信じてるの。本当に、信じてるからね!
「おお、本物のリリカルなのはだよ!」
ちなみにクロノはその映像を見て軽く感動していた。
アニメで見たような変身時の効果は、れっきとした現実である此処では当然無く、あの変身した時に杖を回したりといった行動もなかったのだ。
今回、意図せず出会えたアニメシーンの本人実演という貴重映像に、クロノは心底喜んだとか……。
==========
あとがき
お正月記念ミニSS。
3-2の後、なのはがアースラに来てからの話です。
なのはだって小学生なんだから、アニメは見ているはず! という考えから書きました^^
楽しんでいただければ幸いです。
それでは、次は本編を頑張ります。では~。
年末セールにてパーツを買い込んできて今作っているため、もう少しの間TOPページ繋がりません。
3日には復旧予定ッス。もうしばしお待ちを…
ここのクロノの溌剌なパワーで引き起こされる話をいつも楽しく読ませて頂いております。
クロノの魔力無効化能力をBJに使ったりと応用力があって面白いです。
私もクロノが好きになったのは、俺最強ではなく、そのタクティカルなところであり、このクロノもその面が残っているのが好きです。
それと順当であればデュランダルを取得するはずですが、
魔力無効化、魔力を凍結させる、バインドと敵を無力化する能力と柔術を組み合わせて、
敵の攻撃を完全に無力化し、無傷で取り押さえる魔法柔術とかできたら面白いけど、
・・・・あのクロノの好みじゃないですよね。
ついに原作のところまで行ったようで、これからクロノによって引き起こされるであろう波乱万丈な展開を楽しみにしています。
ところでクロノは、なのフェイ派のようですが、士郎さんから感謝されたり、お嫁にいけないようなものを見られたりと何だかクロなのフラグ?が立っていますね。
ここでフェイトが絡んでいくとどんな化学反応が起きるのか、ラブコメ方面でもワクワクしています。
後、なのはの意思表明を出すシーンは、非常に感動しました。
そういえば、stsに入る前のなのはって自分の周りで傷ついている人のために一生懸命になる子でしたもんね。
それでいて、その問題に対して真っ直ぐ立ち向かうところなんかは、何でなのはに仲間達が集まってきたのかを如実に示していると思います。
そんなところは、どことなく熱血教師を彷彿させます(例えば、金八先生とかヤンクミとか)。
stsでもそのまま真っ直ぐ育っていたらとか思います。
stsのなのはは、少し屈折してどちらかというと無印でのクロノっぽいと思います、なんだか余裕がない感じとか。
それでは。
「……ど、どうして、イデアが起動してるの?」だと思うのですが・・・
この映像を事件後、高町家の皆様に見せると桃子さんが特に喜びます。是非とも高町家での上映会を!!
小学生ならこう言う行動を起こすのは当然でしょうね。
桃子さんあたりが狂喜しそうです…w
クロノは今回本当に偶然だったんですよ。タイミングが絶妙だったのは、奇跡ということでw
>ダブルクエスチョンさん
なのははきっとマジで嫌がるでしょうね~。
私がもしなのはの立場だったら、きっと自殺を考えるに違いありません^^
これが未来の魔王だと考えると…確かに想像できない。
>友人Kさん
いつもホントにすみません。ご苦労様です。
あんまり無理をしないで、ゆっくりでも大丈夫ですよ。せっかくのお正月なので、休みながら頑張ってください。
鯖管の友人Sにもよろしく伝えてください。
よろしくお願いします。
> さん
それはせっかくのシリアスシーンが台無しにw
ネタ話なので、そんなふうに利用するかはちょっとわからないですねー。
>ゼノンさん
あけましておめでとうございます。
うちのクロノも気に入っていただけているようで、ありがとうございます。
うちのクロノはどこまでいっても突撃型なので、結構そういった戦術は難しいかもしれませんね。楽しそうですけど。
なのはのような幼女がああいったことをしようというなら、やっぱり家族に説明するのが普通ですよね。
クロノがかかわることでなのはがどう成長していくのか…。お楽しみに、ということで^^
ラブコメについてもご期待ください。
落とし所が大変そうですけどね。
>俊さん
誤字の部分については、そのままにしておきます。
「が」だと物みたい(まあデバイスですが)に感じて「は」にしたので、一個の人格を持つ存在と感じているということにしておいてください。
うん、桃子さんは喜びそうだw
小学生らしいなのはは微妙に新鮮っぽいですしねー^^
>aoさん
さすがにリアルでそれはマズすぎるっす^^;
自重しておきました。
なのはおとくいの
「命令無視して、勝手な行動取ります!!」
を実行して、
クロノが
「終わり良ければ全て良し、じゃ済まないんだよ」とか言って
バインドで雁字搦めにして
「これが罰だよ」でアースラのみんなの前で公開する。
まさに、外道!
変身シーンって本当は一瞬の出来事なんですよね。
しかも、アニメの動きにフィニッシュは原作なのはのカットですね!
うーん、きっとなのはにとって絶対的な弱みになるんでしょうねwww
遅くなりましたが、明けましておめでとうございます。
外道すぎるwwww
さすがにそれはないですよ。なのはに嫌われるどころじゃ済まなさそうですね。
リアルに
「君がッ! 泣くまでッ! 撃つのを止めないッ!(砲撃的な意味で)」
になりそうですw
>フツノさん
私たちの夢を叶えた男ですw
ああ、羨ましい…
>犬吉さん
細かいところを見ていますねw
確かにこれはなのはにとっては過去の汚点となるでしょうねw
それにしても笑いすぎでしょう^^
では、あけましておめでとうございます。
この記事にトラックバックする: |