幕間2 無印~A's
「あ、あああ……イデアが……イデアがぁ……」
≪正直すみませんでした、プロフェッサー≫
「いや、君はいいんだよ、うん。――クロノ君っ!」
「あー」
「もっとイデアは大切に使ってよ! そもそも君に言われて取り付けたカートリッジシステムはミッド式には合わない機能なんだからね! 僕がちゃんと使えるように調整するまでは使うなって言ってあったでしょ!?」
「おー」
「やっとカートリッジシステムも問題なくミッド式に組み込める技術を作り上げたのに……僕の大事なイデアがこれじゃあ、三日は修復に回さないといけなくなったんだよ!?」
≪あなたのというか、私は身も心もマスターの物ですが≫
「へー」
「って君はなに携帯ゲームなんてしてるのさ! なに、なんなのそのピチューンって音! 僕を馬鹿にしてるの? ていうかちゃんと聞いててよ!」
「くそ、妹様強すぎだろjk。……って、え、なに?」
「だ・か・ら! 僕の話は聞いてたの!?」
「あー……うん。そうだね、プロテインだね」
「聞いてないじゃないかぁ!」
なにやら俺がルナティックな妹様に苦戦している間に、ランドは随分と息が切れてしまっている。どうにも大切な話をしていたようなのだが……。
すまん、それよりもこっちのほうが大事なんだ。せっかくイデアがネットからさらってきたデータ再構成してくれたんだから。そりゃこっちを優先するでしょ。なぁ?
と言ったら、「ふ、ふふ……イデアをそんなことに使ったのかい君は……」とか言って黒いオーラを出し始めたので、さすがに居住まいを正してお話を聞く態勢になりました。
昔(といっても二年前だが)はあんなに気弱な太め少年だったのになぁ……。多忙なせいか体つきもスリムになっちゃって。変われば変わるものだ。八の字型の眉がそのままだから、気弱な印象は変わらないが。
……で、話を聞くと、ミッド式にも問題なく組み込めるカートリッジシステムを開発したとのこと。ランドが中心となって完成させたこの技術があれば、古代ベルカ式の特長であるカートリッジシステムの恩恵をミッドも受けられるようになる。
ベルカ式のエミュレートについては研究がずっと進められてきたが、これが一つのブレイクスルーになりそうだということだ。まだベルカのシステムの再現は出来ないみたいだけど、カートリッジシステムがミッドに合った形で蘇っただけでも、確かに結構な進歩な気がする。これまでは組み込んでもデバイスがもつかわからないって言われてたからな。
そう考えるとランドの奴は凄い。この間久しぶりに会ったロウラン教官が「お前らの年は当たり年だった」と言っていたのが分かる。
なにしろ俺の同級から俺という執務官一人、ロッサという査察官一人、ランドという優秀な技術士官一人を輩出しているのだ。前者二つの合格率は言わずもがな。後者は完全に才能がなければお話にならない世界だ。凄さがよく分かるってなもんである。
ランド本人もそれが自信になったのか、昔のような卑屈なところはなくなってきている。チンク戦を経たことも関係しているのだろうが、今のランドのほうが俺は接しやすくて好きだった。
「――……と、いうわけで。イデアは一週間ほど預かるからね。三日は修復。そのあとに新しいカートリッジシステムを取り付ける。ついでに本体の強化なんかもやっておくから、終わったら模擬戦でもして確かめておいてね」
「助かるよ。悪いな、忙しいのに」
ランドの説明を聞き、俺は素直に礼を云う。ランドだって今ではその力を認められる存在のだ。自分の仕事があるというのに、あくまで善意でやってくれているランドには本当に頭が下がる。
俺はそんな気持ちを込めてわりと本気で感謝しているのだが、ランドはいつものことと取って苦笑するだけだった。
「いいよ、別に。イデアは僕にとっては最初に手掛けたデバイスで、子供みたいなものだからね。仕事とは別に、イデアに関することなら逆にリフレッシュ出来るぐらいだよ」
≪ありがとうございます≫
ランドは笑ってイデアの本体である青いクリスタルを目線に合わせる。それを見ながら、そういえばランドがイデアを作ったんだっけ、と俺は若干懐かしい気分に浸るのだった。
――かつて俺がデバイスの作成を依頼した時。その開発チームの中に組み込まれたのがこのランドだった。
自分が弱いせいで俺に迷惑をかけてしまった。けど、自分に戦う力はない。だから、こういうところで力を貸したい。
そう言ってチームに入れてもらったらしい。
結果は上々。ランドは当時14歳でありながら、独特の発想と確かな知識でイデアフィネス製作の中心的存在となったのだった。
確かにランドに戦いの才能はなかったかもしれない。だが、神様はそんなランドにちゃんと才能を与えていたのだ。機械工作における抜群の才能を。
その時の活躍を認められ、ランドは本局の技術局に推薦で転属。今に至る、というわけだ。
俺やロッサなんかはランドのことを表には出さないが、内心でかなり尊敬している。なにしろ、レアスキルを持つ魔導師である俺たちとは違って、こいつは本当に自分の努力で今日の自分を作り出したからだ。
……まあ、恥ずかしいから言わないけどな。
過去に飛んでいた意識を呼び戻し、ランドに目を向ける。
本人は本当にイデアのことについては苦ではないようで、むしろニコニコしていた。
「……そう言うなら、いいけどな。じゃあ、悪いけど頼む」
「うん、任されたよ。――さて、じゃあ早速修復の方から始めようかな。最近イデアに変わったこととかあった?」
なにやらカチャカチャと周辺機器をいじり始めたランドは、患者(イデア)のことを知るためだろうか、保護者(俺)に質問を投げかける。治療する医者(ランド)としてはそういった身近な情報が必要なのだろう。
だから、俺はここ最近の一番の変化をランドに正直に告げることにする。
「イデアがOTAKUになった」
ガタガターン!
ランドはギャグ漫画のようにこけた。
「な、なななな……」
ランドは動揺している。
ふむ、イデア。
≪なんでしょう、マスター≫
ランドが近くの机に置いたままにしていた相棒に、某赤い男の真似をして話しかける。
「決め台詞、覚えてるよな?」
俺の問いにイデアは少し間を置き、タイミングを合わせて俺と同時に言う。
「≪ジャック・ポット!≫」
≪品のない台詞ですね……≫
バージルよろしく、きちんと渋く締めてくれる相棒は素敵に無敵だ。
イエーイ。
イデアの傍に寄り、互いの健闘をたたえ合う。これでイデアに身体があったらハイタッチをしているところである。残念だ。
しかしさすがイデア。俺のノリに平然とついてきてくれる。そこに痺れはしても憧れはしないけど。
そして何やらランドはがっくりと肩を落として床に突っ伏していた。
駄目だこの二人……早くなんとかしないと……と呟く様はなかなかに気味が悪かった。というか、なぜそれを知っている。
何やら奇妙な雰囲気漂うランドの研究室。と、突然スライドドアが空気音と共に開き、新たな来訪者が顔を出した。
「やあ、ランド。クロノが来ているって聞い、たんだけど……」
やって来たのはマッガーレこと長い緑色の髪が特徴の我が親友の一人。ヴェロッサだった。
部屋に入ってきたロッサはまずイデアとともに喜びを表す俺を見る。続いて床に倒れ伏したランドを見ると、これでもかというぐらいの大きな溜め息をついた。
そして、
「……はぁ。変わらないね、君たちは」
諦めきったような、それでいてどこか嬉しそうな顔をしながらそう言ったのだった。
それから、復活したランドにイデアを渡した後、俺達は連れ立ってランドの研究室を出た。
最後までランドは恨めしげに俺を見ていたが、イデアがOTAKU化したのはイデアの責任である。俺に文句を言われても困る。
まあ確かにネットで情報を集めるように指示を出したのは俺だったけどさ。けど、それであんなふうになるなんて普通は思わないだろ?
けど、俺の相棒としてはピッタリすぎる。まあ、ときどきコイツこれでいいのか? と思わなくもないけど。……俺が言えたことではないか。自分で言ってて凹むぜ。
……まあ、ともかく。そんなこんなでイデアはランドのもとへ。そして俺はロッサと共に本局の中を歩いているというのが現在の状況。
今回の任務に就く前に何度も会っているとはいえ、やはり友人との時間は気が休まるものだ。それが男同士ならなおさら。……いや、アッー!的な意味ではなくて。同性ならではの気軽い雰囲気ってやつだ。
そんなわけで、適当に世間話をしながらこうして歩いているわけだ。
「そういえばエイミィから聞いたんだけど。今回はかなり大規模な事件だったらしいね」
「……ああ、まあなぁ。ロストロギア使用未遂、次元断層一歩手前、かつての大魔導師の死。いや、実質的にはロストロギアは使用したな、ありゃ。それも一級の危険物だ。歴史に残る事件だったろうよ」
「じ、次元断層か……。聞きしに勝る凄まじさだね」
俺の口から並べ立てられる単語に、さすがにロッサも笑みをひきつらせる。
無理もない。俺達管理次元世界に生きる者にとって、次元断層とは最大級の災害だ。起これば死ぬしかない。それも、多数の次元世界を巻き込んで、だ。何百億……あるいはそれ以上の人間が文字通り跡形もなく死ぬ大災害。想像もしたくない類のものなのだ。
「まあ、今回は正直俺たちの手柄とは言い難いな。現地協力者の功績が一番大きかった」
「現地協力者……エイミィも言ってたな。まだ9歳の可愛い女の子だって言うじゃないか」
確かになのはは若干9歳の幼女だが……そのスペックはアンバランスにも程があるぞ。
「9歳とはいうが、魔力値AAA、生まれは魔法のない管理外世界、わずか一カ月程度で訓練された同い年の同ランク魔導師相手に勝っちゃうような子だけどな」
「……なんだいその子。才能……いや、そういう子のことを言うんだろうね、天才っていうのは」
「ああ」
そう、なのははまごう事なき天才だ。それも地球のようなたかだか六十億の中の一人というわけではない。次元世界に生きる何千億、何兆の人間の中での一人なのだ。
しかもその才能は魔法戦闘に特化している。魔法至上主義とも揶揄される今の管理世界にとっては喉から手が出るほどに欲しい人材だろう。
加えて本人は正義感が強く、魔法が大好き、おまけに美少女ときたもんだ。これほど管理局にとって得しかない存在も珍しい。
本人の意思も確認はするが……結局は管理局はなのはを引きこもうとするだろう。そんなことをしなくても、本人から行きたいって言いそうだが。
三期見てても思ったことだが、なのは自身魔法に寄っかかってるところがあるみたいだからなぁ。
俺個人としては心配ですよ。あんな大事故が起こらなければいいが。
「才能ってのは、ついて回るから嫌だねぇ。俺やお前のレアスキルみたいにさ」
「そうだね。この力があるから今の仕事についてるんだから、一概に否定もできないのがまた何とも厄介だよ」
俺はまだこのレアスキルにはそこまでのこだわりはないが、ロッサはレアスキル持ちであることと立場のことで昔は色々あったからな。複雑だろう。
俺は管理局のプロバガンダ兼格下犯罪者への絶対的力として。ロッサはその特殊なレアスキルが最大限に生かされる査察官として。
今の俺たちを構成するものの中で、レアスキルが影響したものは多い。これで飯食ってる以上、もうただ嫌うこともできなくなってしまった。
そこらへん割り切っているからこそ、ロッサは今も査察官をやっている。
なのはは自分の魔法の才を純粋に喜んでるみたいだが、過信は禁物だ。ロッサのように気にしすぎず、かつなのはのように過信せず。そこに折り合いをつけるのが何時になるのか。それがなのは撃墜事件のキーポイントになりそうだ。
「……はぁ。なのはだけじゃなくて、フェイトのこともあるしなぁ。何だってこう、際どい問題が出てくるのか……」
「フェイトっていうと、裁判が始まったあの子かい? 君たちが保護したっていう」
「ん、まあな」
ちなみにさっき言ったなのはに負けた訓練された同い年の魔導師がフェイトだ、と教えてやる。
「へぇ。ちなみにそのフェイトって子の強さは?」
「俺がやって、7:3で俺が勝つレベル。なのはには8:2で勝てるかな」
「……つまり、どっちも上手くやれば今でも君に勝てると? 9歳の女の子が」
「そう。9歳の女の子が、現役執務官の俺に、勝てる」
区切ってわかりやすく断言してやれば、ロッサは何を言うべきか迷ったように口元を揺らした後、結局溜め息を漏らした。
「……末恐ろしいね」
「俺もそう思う」
俺なんて最初はDランクだったのにさぁ……。なのはは魔法知って一ヶ月で十年間鍛えてきた俺に勝てるかもとかさ、もう……ねーよ。
これが噂の主人公補正ってやつかよう。ふん、う、羨ましくなんかないんだからねっ!
■
さて。
あれから少し話してロッサと別れた俺は、その足で本局の転送ポートへと向かい、現在ミッドチルダにいる。
というのも、今日は久々のオフだからだ。イデアを修理に出しに行くついでに、休みにしちゃおうというわけである。
ここのところPT事件の事後処理やフェイトの裁判に関することなどで大忙しだったこともあり、一日リフレッシュする日を設けたかったのだ。
これといって差し迫った仕事があるわけでもなく、俺の申請はすんなり通った。急な任務でも入れば別だろうが、まあ大丈夫だろう。
で、現在俺は本局を離れて地上の方に来たわけなのだ。今日の予定は主に買い物。それから、久しぶりにもう一人の友人に会うためである。
人でにぎわう街中を歩き、いつぞやに遭遇したオープンカフェを視界にとらえる。そこに座る銀髪の少女を見つけて、俺は片手をあげて呼びかけた。
「よ、久しぶりだなチンク」
「ああ。一か月ぶりだ、クロノ」
飲んでいた紅茶のカップを置いて、俺と同じく片手をあげて応えるチンク。
チンクの前の席を引いて座ると、店員の女性が注文を聞きにやって来た。それにコーヒーを一つと答えると、店員は頭を下げて店内に戻っていく。それを一瞥して、チンクに対して向き合った。
「もうそんなになるか? まあ、ここのところ忙しかったといえば忙しかったからなぁ」
チンクに最後に会ったのはPT事件でアースラが出航する三日前だ。PT事件が終結して、もうそんなになったのかと思うと感慨深いものがある。
「確かに、今回は大きな事件だったらしいな。何でも次元断層の危険まであったとか」
「ああ、まあな。っていうか、詳しいな。例のドクターにでも聞いたのか?」
「さて、な」
チンクはふっと小さく笑って、俺の質問を誤魔化した。まあ、俺もここで何か言うとは思ってないけど。
チンクは紅茶を一口含むと、カップを置く。陶器がこすれるような音が微かに鳴った。
ゆったりとした時間。それに癒されつつも、俺は大きなため息をついた。
「正直、今回は結構堪えたな。大きい事件だからってのもあるけど、何より精神的に結構くるものがあった。まあ、そのぶん得られたものも多かったんだけどさ。似あわない台詞吐いたりまでして……イデアにも無理させちまったし」
他にもついに原作時間に入るって言う緊張と気負いもあった。何しろ生まれ変わって十四年も経っているのだ。いよいよという思いを抱いても仕方ないと思う。
それに、フェイトのこともあったし、なのはの家族に魔法バレしていることなんかもあった。……あ、そういえば高町家に呼ばれてるのにまだ行ってないや。まあ、次の休みにでも顔だしとこう。
コーヒーを運んできてくれた店員に手をあげて礼を示し、早速口をつける。芳醇な香りが鼻を通って、脳をすっきりさせてくれる。コーヒーはいいね、リリンが生み出した文化の極みだよ。
「そういえば声を聞かないと思ったが、イデアは今いないのか」
「ああ、現在本局で修理中だ。……っと、悪い。愚痴ばっかになってたな」
久しぶりの休暇ということで気が緩んでたのかもしれん。友人とはいえ、愚痴ばっかり聞かせては悪いと思って俺が謝ると、チンクは気にするなと言って笑った。
「私だって愚痴ぐらいこぼすことはある。友人の愚痴を聞いてやるのもまた友人の役目というものだろう?」
金色の瞳を片方つぶって楽しげに言う。
そう言われては、俺は何も言えない。はぁ、と自分の失態をいさめるように嘆息して、助かるとだけ返しておいた。
「しかし、お前も愚痴なんてあるのか? いや、馬鹿にしてるわけじゃなくて。なんか、そこらへんの管理ってきちりやってそうなイメージだったからさ」
改めて問うと、チンクははぁとため息をついた。
「それは、生きていれば愚痴の一つも出てくるものだろう。そう、例えば……何故か最近ウーノが私に奇妙に生温かい視線をよこしてきたり。ドクターが急に私を計画の保険案での対象素体から外したり……。他の姉妹の態度は変わらないというのに、あの二人はいったい何なんだ?」
「いや、俺に聞かれても……」
保険案って、あのドクターの子供を腹の中に宿すって奴か? それから急にチンクを外す……何故?
まあ、俺ごときの頭でドクターの考えが分かるはずはないのだが、確かに奇妙だ。こう……嫌な予感がする。それも、シリアス的な嫌な予感じゃない。違う方向の嫌な予感だ。
ウーノについては全くわからんな。会ったこともないし、原作でも前に出てくるキャラじゃなかったし。
なんて考えている間も、チンクの愚痴は続く。
「そもそもだな、クアットロの態度はどうなんだ。ドゥーエの指導がどんなものだったのかは知らんが、本来姉である私を妹のように頭をなでたりなどして……。形式番号では確かに私の方が下だが、早くに生まれたのは私だぞ? もう少し姉を敬う気持ちというものがあってもだな……」
「へー」
クアットロってもういるんだ。ナンバーズが生まれた時期なんてもうすっかり忘れてるからなぁ。
ってかチンクさん、色々ぶっちゃけすぎじゃね?
「セインは私のことをよく慕ってくれるし、敬ってもくれる。まあ、あれは姉に対するものよりも友達感覚なのかもしれないが……。しかし、クアットロよりは真面目だし、何より明るい。まったく、これから生まれてくる姉妹を導く者としての自覚があるのか、クアットロは」
「ほー」
適当に相槌を返す。
何やらチンクさんは色々と鬱憤がたまっているようです。スカさんファミリーも意外と大変なんだな、と変な親しみやすさが湧いてしまう。
「ドクターもクアットロにはあまり仕事を回さないから、何か別の役目でもあるのか……。まあ、あいつのISがレリック回収にはさほど役立たないことが原因かもしれないが、特別扱いはやはりよくないと思うわけだ。もちろんクアットロにもいいところはあるが……なんというか、捉えどころがなくて困る」
「ふーん」
まあ、幻覚だか何だかを操る能力だった気がするしな、クアットロって。無機物であるレリックを回収するのには、あまり意味ないわな。
と、考え事をしていると、何故かチンクがジト目でこちらを見ている。なかまにしてほしいのだろうか。
「クロノ、ちゃんと聞いているのか?」
違った。
ていうか、なんかチンク目がマジでない?
「ちょうどいい。今日はとことん胸の内を語り合おうじゃないか。お前だって、職を持つ身だ。色々と言いたいこともあるだろう?」
「え、ちょ、ま」
俺が何か言う前に、チンクは立ち上がって会計を済ませてしまう。俺も慌てて立ち上がり、会計を済ませる。店員さんの「割り勘かよこの甲斐性なし」的な視線が地味に痛かった。
そして店を出た後は、近くのファミレスで食事をとりつつ何故か愚痴大会となった。
……おかしいな、チンクってこんなキャラだったか? そう思うも、まあいいかと一応付き合う。プリンを一生懸命食べているチンクは微妙に微笑ましいが、そんなだから妹扱いされるんじゃないだろうか。
そう言ったら、それ以降甘味を頼まなくなった。極端すぎる。
――そんなこんなで、結局店を出たのは午後7時。ファミレスに入ったの、1時だったんだけどなぁ……。
そのあと当初の予定にあった買い物をしてから本局の自室に戻ると、時刻は既に午後9時を回っていた。明日の仕事の書類を作る作業がだいたい1時間。明日は朝6時からだから……もう何もできないことに気がつく、14の夜。
お、俺の休日が……。
続
==========
あとがき
そういえば、今回のお話でちょうど三十話目だったり。
今回は非常に短いですが、すみません。
キリがいいのと、日常話をだらだら続けてもなぁ、と思ったのでここまでにしました。
さて、今回は本当に特筆すべきことが何もない間のお話です。せいぜいランドくん再登場! ってぐらいでしょうか。皆さん、彼のこと覚えてますか?
そして久しぶりにチンクさん出てきました。しかしいかん、キャラを少し忘れつつある。
ここ最近忙しくて書いてなかったからですかねぇ。リハビリしなくちゃです。
それではまた次回も幕間話です。 楽しみにしていただければ幸いです。それでは~。
しかし、こうして見るとなのはって凄まじい廃スペックですね…最近のネギやナルトなどよりはチートキャラではないですが、二次創作のオリキャラだとしたら十分叩かれかねないのを、上手い具合に人気のキャラとする当たりに原作者の腕を感じますね。
さてと、久しぶりのランド君。あの事件で一皮剥けて、とてもいいキャラになりましたね。またクロノの存在によって、地味に原作と乖離してゆく様が書かれていたのが上手いなぁと思いました。
では、次回の更新を楽しみにしています。
ランドは背丈的にはクロノより少し高いぐらいですかね。
ちなみに顔つきは、ちょっと情けない感じでイケメンというほどではない、みたいな。
気の優しい奴って印象を目指しています^^
>鎖さん
なのははホント、あの世界の人間からしたらチートもいいとこだと思うんですよねぇ。
それでも憎めないところがあるのは、さすがは都築さん。まあ、私が自分の嫁を嫌うわけはないんですけど(ぉ
ランドがイデア開発にかかわって云々、というのはランドが登場したころからずっと考えてました。カートリッジが組み込み可能になるのも。細かいところの違いがわかって頂けたならよかったです^^
>俊さん
気づけば周囲がおかしな方向にw
でもクロノとチンクはあくまで友達同士なので、そこは変わりませんねー。
次回もどうか楽しみにしていてください^^
お忙しい中での更新、お疲れさまです。相変わらずなんともほのぼのな幕間で。うん、妹さまは強いよね(ぉ
こう、クロノとチンクが親密になればなるほど、彼らの再戦が楽しみで仕方ありません。周り(管理局側)からは変な目で見られつつも、彼らなら楽しんでいそうな気がして……
「ふん、何時かの借り、きっちり返させてもらうぞ!」「上等!」みたいな。
これからも頑張ってください。
就職活動中なんですか!
お互いに大変ですよね^^; 頑張りましょう!
少しずつ書いていきたいと思いますので、またうpしたら読んでやってください。
>カウさん
こんにちはー。妹様は本当にむずすぎました。
クロノとチンクの再戦ですか。あるかどうかはわかりませんが、あるとしたらStSでしょうね。
まずはA's終わらせないと……^^;
時間見つけてやらないとなぁ。
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