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日々のことを徒然と。あと、絵や二次小説も掲載しています。主にリリカルなのは中心です。
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きょう×なの その6



 チッ、チッ、チッ……。

 休日の昼下がり、普段ならそれなりに騒がしくなる高町家のリビング。しかしそこは今日に限っては時計の針の音すらはっきり聞こえるほどに静寂に満ちていた。


 だからといって、実は人がいないというわけではない。というより、むしろこの家の住人全員がこの一室にそろっているのだが……。

 何とも珍しいことに、誰も口を開かず騒ぎを起こしていないのだ。これは高町家でははっきり言って異常な現象であった。

 とはいえ、それを指摘する者はいない。

 なにしろ、全員が一人……いや、二人のことを穴があくほどに凝視しているからだ。桃子だけはこれでもかというぐらいにニヤけた顔でその二人を眺めていたが。

 この家の住人+一人が今いるのは、リビングでいつも食事を行うテーブルだ。

 上座に桃子。そしてその両横を向かい合うように座っているのが右側にレン、晶。左側に美由希、なのは。そして、桃子と対面する形で座っているのが恭也と平行世界から来たなのはであった。

 桃子は机に両肘をついて手を組み口元を隠すポーズをとると、ニヤリと笑った。

「……さて、説明してもらいましょうか恭也?」

 その言葉に同調するように一斉に頷く両脇の四人。

 恭也となのはは顔が引きつるのを感じた。

「な、なんの話だ」

「当然、あんたの隣にいるその可愛い女の子のことよ」

 びくっとなのはの身体が震えた。

 可愛くなんてないですけど……、と心の中で呟くしかできないなのはだった。

「この子は、だな。な……」

「な?」

 名前を言おうとして、恭也は突然停止する。

 訝しげな一同を無視して、恭也はなのはに顔を寄せた。

(……なのは。名前はどうする。そのまま言ってしまっていいのか)

(あ! そ、そっか。一緒でもいいけど……それだとなのはちゃんと区別がつかないよね……)

 高町姓はなくはないし、問題ないとしても名前まで一緒だと呼ぶ時にも困るだろうし何より不審だろう。

 まあ、実際には今の段階で相当不審なのだが。

(じゃあ……えっと、何かいい名前は……)

 とはいえ、急にいい名前など思いつくはずもなく、なのはは小さく唸って苦悩する。

 そんななのはに、横から救いの手が差し伸べられた。

(……よければ、俺が適当な名前を答えておこうか)

(じ、じゃあそれで!)

 余裕のなかったなのはは間髪入れずGOサインを出し、恭也は頷く。

 そして、すぐさま桃子に向きなおって口を開いた。

「……実はこの子は花子というんだが――」

「はい、嘘~」

「なに!?」

(恭也くんのバカー!)

 最後は速攻でばれるような名前を出した恭也に対するなのはの感想である。

 恭也の持つ、嘘は得意なくせにこういった誤魔化しは苦手という妙な性格がもろに出る形になってしまった。

 本気で驚く恭也に呆れたような視線を向けて、桃子はため息まじりに解説する。

「あのねぇ……そんな判りやすい偽名で、しかもさっきからこそこそと二人で何かしてれば、嫌でも気がつくでしょうが」

 桃子の言葉にうんうんと頷く高町家のみなさん。

 ってことは結局もう名乗るしかないってことですか……。

 なのはは己の不手際を悔いて、うなだれた。

「で、その子の名前は?」

 再び問いかけてくる桃子の眼差しを受けて、恭也は隣のなのはを見る。

 なのはは仕方がない、という諦観も含んだため息を一つ吐いて桃子の視線に真正面から応えた。

「……はじめまして。わたしは、なのは。高町なのはと申します」

 改めて名乗り、よろしくお願いします、と頭を下げる。

 対する高町家の面々は、ぽかーんという擬音が似合う、まるで鳩が豆鉄砲を食らったような顔で言葉を失っていた。

「ふわぁ……なのはと同じ名前なんですねー」

「うん、そうみたいだね。あ、わたしの場合は、高町“菜乃葉”って書くんだけど」

「あ、なのはは平仮名です」

 そうなんだー、すごいですねー、とお互いに笑いあうなのはと菜乃葉。

 ちなみに漢字での“菜乃葉”という表記は、いま咄嗟に考えたこちらのなのはとの区別のためだった。さすがに表記まで一緒ではこんがらがってしまうだろう。

 この菜乃葉という名前は、士郎が考えた名前だと菜乃葉は自らの母から聞いていた。ただそれだと固い感じがするから平仮名にしたのだと。そういったことを聞いていたから、咄嗟とはいえこの名前が出てきたのだろう。

 確かに、まったく違う名前だと混乱するだろうし、それほど悪い名前でもないか、と菜乃葉は思った。

(では、なのはのことは菜乃葉と呼べばいいんだな?)

(うん。恭也くんも、それでお願いできる?)

 小声で確認しあい、恭也は頷いた。

 そしてようやく復帰を果たした桃子たちが、はっとして菜乃葉のほうを向く。美由希たちはまだ驚きを隠せないようだったが、さすがに桃子はもう落ち着きを取り戻しているようだった。

「えっと……それじゃあ、菜乃葉ちゃん? うちの恭也とはどういった関係なの?」

 問い詰めるよいうよりかは楽しんでいる口調で、桃子は菜乃葉に問いかける。自身の知る母も他人の色恋には非常に敏感な人だったが、ここまでだったかなぁと思うと菜乃葉は苦笑を禁じ得なかった。

「えっと……幼なじみ、になるのかな? 一応……」

「む……そうだな。幼い頃に一緒に遊んでいたことを考えれば、そうとも言える」

 たったの一日だけだったが、お互いにそれぐらい仲良くなったという自負はある。

 ただの友達とは言いたくないし、昔の知り合いというほど薄い関係でもないと思いたい二人であった。

「その……九年ほど前に、一緒に遊んだことがあって……それ以来会ってなかったんですけど、今日偶然再会したんです」

「母さん、覚えていないか? 九年前の縁日があった後日、父さんのことを叱っていただろう」

「え? うーん……」

 恭也から言われ、桃子はどうやら自分もどこかしかで関係しているらしいと気がついて腕を組んで過去を掘り返す。

(縁日というと、あの時のデート? 確か恭也があの日からわりと懐くようになってくれて……ああ、そういえば)

「士郎さんが恭也にウソを教えていて、あたしが怒ったアレ?」

「ああ、そうだ。その時に話題に出ていた女の子がいただろう。あれが菜乃葉だったんだ」

 あれか、と桃子は思い出せたことに安堵する。

(確かようやく心を開きかけてくれた恭也のことが可愛くて、ついつい士郎さんに冷たくなっちゃったのよねー、あの時って……)

 懐かしいわぁ、と今は亡き夫との思い出に束の間浸る桃子。その思い出が呼び起こされたことに呼応してか、次々とその時の情景が頭に浮かんできて桃子は優しく微笑む。

 もはや会えない人であっても、こうして心の中では色あせず生きている。そのことが、何だかたまらなく嬉しく感じる桃子だった。

(あれ? でもそういえば……)

 そして思い出していくうちに、ふとあることを思い出す。

 さらにその事実と今の恭也の言葉を見れば、あの時恭也がそれをした相手が目の前の少女だと予想されることに、桃子は気がついた。

 ――にやり。

 結果、桃子は再び某総司令なみのスマイルを顔に浮かべることになる。

「ど、どうした母さん」

 その笑みにいい思い出がないのが恭也である。その類まれな第六感によって己に迫る危機を感じ取ったようだ。わずかに身が引けている。

「?」

 菜乃葉のほうは首をかしげるだけであったが。

「きょ・う・や~?」

「ぐ、な、なんだ」

 完全に捕食者と被捕食者のような対図であった。周りの皆も空気にのまれてか声を出すことができないようだった。

「あの時の嘘の内容……士郎さんが確か『指輪を女の子に渡すのは親友の証』って言って恭也を騙したんだったわよねぇ。……今の話を聞くと、菜乃葉ちゃんに?」

「な!?」「ふぇ!?」

「「「ええええええぇ~~~ッ!!」」」

 にやにやとしながら訊く桃子。

 その顔を見れば確信犯であるのは明白であった。

「ど、どういうことなの恭ちゃん!?」

「お師匠、いつの間にそんな!」

「師匠、ゆ、ゆびわなんて渡してたんですか!?」

 途端に騒がしくなるのは、やはりというか当然というか美由希、レン、晶の三人である。

 三人が三人とも恭也に対しては、友愛以上の思慕を抱いているだけにその様はまさに必死である。

 そんな三人に、なぜそんな剣幕で迫られねばならないんだ……、と心中で呟くのがこの男のすごいところ。自分の感情ならまだしも、他人の感情にはとことん疎い恭也であった。

(……なんか、恭也くんってモテるんだなぁ……)

 そして、そんな三人の様子が何だか面白くないのが菜乃葉である。

 自分自身、恭也に対してそういった感情を持っていることに気がついているだけに、他の子が恭也に向けるそういったモノにも敏感になる。

 その結果、ついつい嫉妬心というか怒りのようなものが湧いてきてしまうのも無理がないわけで……。

(!? ……くっ……! よ、横から何か凄い気を感じる……!)

 ついつい恭也に向ける視線に殺気がこもるのも無理のないことであった。

「あらら……大変そうねぇ、恭也」

「母さんのせいだろう!?」

 元凶のくせにのほほんと告げる桃子に、本気で泣き出したくなる恭也だった。

 ちなみになのはは、やっぱりこれぐらいのほうがウチらしいなあ、と思いつつお茶を飲んでいる。小学生の割に要領がいいなのは。桃子の娘というのは伊達ではなかった。







To Be Continued...




また短い・・・^^;
次回こそはもう少し長くします!


そしてアンケートの結果発表~!
決定版は『菜乃葉』になりました!
これはもとから「とらは3」にある設定なので、別に使ってもいいのでは、という意見を頂きました。
それに、公式にある設定を使ったほうがオリジナルの名前よりも分かりやすい、ということも聞きました。
それらからこの名前にいたしました。
ほかにも多くの意見を頂きました。皆さん、ご協力ありがとうございました!

それでは、以後もまた「きょう×なの」よろしくお願いします~^^


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無題
ソードマスターが更新されてないかと久々に来て見たら、何やら新しい作品が!!
しかも私の好きな恭也×なのはでさらにGOOD
これからソードマスターに引き続きこちらも楽しみにさせて頂きます
ロン 2007/10/04(Thu)22:59:42 編集
無題
ソードマスターでなくてすみません…^^;
今はこちらの更新が主ですね
まだ感想はいただきますし、しばらくはこちらでw
ぜひ楽しんでいただければ~^^
雪乃こう 2007/10/05(Fri)16:09:39 編集
こいつはまた
ども、はじめまして。
無印、A's、StSとここ数年で色々火がついたため、巡回先を増やしていたらたどり着きました。
最近すっかりはやて派の私ですが、なのはもいくらでも魅力的になれるキャラですねぇ……。
過去の時点で因縁を作ってくれたおかげで、すんなり話しに入って楽しめました。
続きも期待してますです。
たのじ 2007/10/06(Sat)19:35:01 編集
無題
たのじさん、はじめまして
なのははここ数年の成長が著しいですからね~
巡回先を増やすのもわかります^^
はやて派ですか…。なのはしかなくってすみません…^^;
これからも訪れてくれると嬉しいです
それでは、またぜひ感想をよこしてください~
雪乃こう 2007/10/06(Sat)23:14:53 編集
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