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日々のことを徒然と。あと、絵や二次小説も掲載しています。主にリリカルなのは中心です。
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SIDE-Kyoya




「――……はあ……」

 恭也は、最近になって温かくなってきた陽気の中をゆっくり歩きながらため息をついた。

 というのも、朝からの自分の行動を省みてさしもの恭也もすっかり気が滅入っているからである。

 ――朝。朝食を終えたあと、恭也はリビングでくつろいでいたのだが……結果を言ってしまえば、まったく恭也の身体から力は抜けず全然くつろげていなかったりした。

 まあ、その原因は自分でもよく分かっているのだが。

「おかーさん、これはどこ?」

「ああ、それはこっち。届く?」

「うん。大丈夫!」

 原因とはつまり、これ。

 台所から聞こえてくる、ありふれたごく普通の親子の会話。その会話の一方の声についつい意識を向けてしまうからであった。

「できたよー、おかーさん」

 自分の知るなのはではないとわかってはいても、まったく同じ容姿の人間がすぐそばにいるのだ。それだけでなぜか恭也の身体はわずかに緊張してしまって、いつものようにとはいかないのであった。

 かといってさすがに普段はそんなことはないのだが、やはり今日見た夢の影響なのか、なぜか今日だけどうしてもそれが気になってしまうのだ。

 何分かそうしてそわそわとソファで過ごしていた恭也は、おもむろに立ち上がると台所の二人に聞こえるように声をかける。

「母さん、なのは。少し、外を歩いて来る」

「はーい、了解」

「いってらっしゃい、おにーちゃん」

「……ああ。いってきます」

 恭也は応えると、そのまま玄関に向かい高町家を出た。





 ――そして、今に至る。

「我ながら、女々しい行動だとわかってるんだが……」

 ふらふらと目的もなく海鳴の町をさまよい歩き、たどり着いた場所は小高い丘。父も眠っている景色のよい場所に設えられた霊園に恭也は来ていた。

 父の墓の前に立ち、その墓に手を合わせる。

 そうしていて、思い出すのは今日に限ってはやはりあの一日のことだった。

 なのはと一緒に行った縁日に士郎と桃子も来ていて、お花を摘みに行った桃子を待っている士郎に二人でいるところを見つかってしまったこと。

 勝手に出歩いて人様の子に迷惑をかけるな、と叱られ、すぐに身体ごと士郎に引き寄せられて耳元で「よくやった! さすがは俺の息子だ!」と囁かれて脇腹を殴ったこと。

 そのせいで士郎の怒りに触れて怒られたこと。

 ……そういえば、なのはは自分が怒られたと勘違いしていて後で誤解だと説明するのにひどく苦労した覚えもある。

 そして「俺のデートを邪魔するな」というありがたい言葉を贈られて再び二人で縁日に繰り出そうとした時。なのはに見つからないように嘘の指輪の話を聞かされたこと。

 ……少々腹の底から込みあがるものがあるが、まあいい思い出だ。死者は殺せないし、致し方ない。

 合わせていた手を離す。そして、恭也は今度はこれまで背を向けていた霊園の裏にある草原へと振り返った。

 木々と茂みの向こうにあるその草原をまぶたの裏に思い浮かべて、そこで出会った少女のことを思い出す。

 天真爛漫に笑う子だった。

 泣き喚いてもおかしくない状況に晒されながらも、決して泣こうとはしない強さもあった。

 しかしそれでも、小さく零した不安と悲しみの声に彼女は無理をしているだけだったのだと気付かされて、自分の馬鹿さ加減に腹が立ったこともあった。

 恭也は自分が無愛想で、人に好かれるタイプの人間ではないと考えている。さらには剣の道に生きてきたため、一般的な趣味やテレビの話などの話題にも対応できないつまらない奴だとも。

 しかし、なのははそんなことは気にせずに接してくれた。会ったばかりの俺に笑顔を向けて、友達だと言ってきた珍しい女の子だった。

 その好意は単純に嬉しかった。かつての御神の事件もあって人との関わりに臆病になっていた俺に差し出された幼い手は、自分に再び人との繋がりをくれる第一歩ともなったのである。

 差し出された手を、握り返してお互いの名前を呼んだ時。あのはにかんだ笑顔を覚えている。

 そして、そんな彼女に対して芽生えた気持ちも。

 ずっと覚えている。今でも。

 それが何を意味するのか、散々鈍いと言われ続けた恭也だって流石に気づいている。

 ようするに、高町恭也は彼女のことが好きなのだ。あの日から今日まで、ずっと。

「……ここには、思い出が多すぎるな」

 ふっと寂しげに笑みをこぼし、恭也は草原のほうへとゆっくり足を向ける。

 朝に見た夢のせいか、普段は意識して近寄ろうとしない場所であるのに特に抵抗もなく足が動く。

 それは夢を見たことであの頃のことを思い出した郷愁のような思いのせいか。

 それとも、彼女への思慕にわずかなりとも浸かりたいからか。

 

 ――あるいは、何かが起こる予感がしたのか。


 バチッ……。


「!?」

 突如すぐ近くからとてつもなく大きな静電気のような音が響いて、恭也は咄嗟に後ろに跳んで距離をとった。


 バチッ、バチッ……!


 静電気のような音は断続的に周囲に響く。最初の音と比べて、段々と音の鳴る周期が短くなってきている気もする。

 何が起こるのか。

 恭也は身を低くしてもしもの時に備えた。

「音だけじゃないな……、風も出てきた」

 しかし、丘から見下ろす町には恭也が今感じているような強い風は吹いていないようだ。草木が激しく揺れているのは恭也の周囲だけだった。

 確実に、何か起こる。

 恭也は気を練り、視線を鋭くした。

 風は強くなり、ついには暴風とも呼べるような強さになっている。断続的に聞こえていた音も、すっかり連続して聞こえるほどになっていた。


 バチンッ!!


 そして一際大きく音が響くと、カッと目もくらむ閃光が恭也に襲いかかった。

「ッ……!!」

 思わず目を閉じた恭也は、まずいと思い反射的に身体を左にずらす。

 しかし、そんな恭也の警戒は結果としては意味をなさなかった。襲いかかった閃光は数秒とたたずに消え去り、攻撃のようなものもなかったからである。

「……?」

 恭也は何とか直視を避けたおかげで無事だった目を、慣らせるようにゆっくりと開いていく。

 ぼんやりとした視界が徐々に恭也の眼にうつる。さらに目を開いていくと視界もはっきりしてくる。

 ようやく目の前の光景が目に映ると、恭也はそのまま目を最大限に見開いて言葉を失う。

「なっ……!」

 目の前には、風景が裂けて真っ赤な空間を内部に映した切れ目が浮かんでいる。

 強い風はその中から吹いてきているようだ。そして、静電気のような音はもはや雷として光を放ち、その裂け目の周りを囲っている。

「これは……いったい……」

 強風と雷光を纏った空間の裂け目という不思議な事態に、そういった不可思議には慣れた恭也も驚きを隠せない。

 呆然としていると、唐突に裂け目から吹く風が強くなった。

「くっ……!」

 びゅうびゅうと吹きつける風に腕をかざして風除けを作るが、せいぜい目を閉じなくていいぐらいの効果しか生み出さなかった。

 しかしそれぐらいでもいい。どうやらこの裂け目は何かを吐き出そうとしているようなのだ。それが危険なものなのかどうか見極められる目さえ生きていれば、後の対応は何とかすればいい。

 変わらず吹きつけて来る風に対抗しながら裂け目の奥を睨みつけていると、小さな人の形が浮かんできた。

 どうやらあの人間をこの裂け目は出そうとしているらしい。

 さらに見極めるべく、少しずつ近づいてくる人影に神経を集中させていく。

 ゆっくり、ゆっくりとその人影は近づき、その正確な全様を露わにしつつあった。

 じっとそれを見続けていた恭也は、それがどうやら自分とそう歳の変わらない少女であるらしいことを悟った。

 髪は茶色。服装は白を基調としたもので、手にはピンクの杖のようなものを握っているようだ。顔については、さすがにここからではわからなかった。

 しばらくすると、裂け目はその少女を吐き出した。地面に投げ出されそうになった少女を恭也は受け止めて裂け目に目を向けると、その裂け目はだんだんと収縮していき十秒もすれば消えてしまった。

「……なんだったんだ、あれは」

 恭也は思わずつぶやく。まるで経験したことのない現象だった。

 ……いや、待て。

 確かに吐き出されるようなものは知らないが、吸い込むものなら知っているはずではないか?

 中の空間も赤ではなく青で、ひどく穏やかな丸い穴のようなものを、自分は見たはずだ。

 九年前の、この場所で。

「!!」

 まさか、と思い恭也は腕の中の少女に目を移す。

 茶色い髪は長く、髪型は両側でしばったツインテール。服は白くところどころにアクセントのような青い線が走り、胸元には赤い大きなリボンが飾られている。手に握られたピンクの杖は、大きな赤い宝玉をその先端につけていた。

 顔は……似ていた。自分の妹に。まるで、成長すればこうなると言わんばかりの容姿だった。

「ぅ……ん……」

 眉をゆがめて、少女がうめく。

 声にも、聞き覚えがある。

 まさか本当に、という思いが恭也の中で膨らんでいく。

「なのは……か?」

 思わずもれた、といった様子の声だった。

 しかしその声で気がついたのか、その少女は小さく身じろぎをした後にゆっくりと目を開いた。

「あれ……ここは……?」

 まだ意識がはっきりしないのか、少女は顔をわずかに動かして周囲を確認する。

 そうすると当然顔は恭也のほうを向くわけで、すぐに恭也と目が合った。そして、その目線がゆっくりと自分の体のほうへ下がっていって……、

 少女は、自分が抱きかかえられていることを知った。

「ふわわわッ!?」

「あ、す、すみませんッ!」

 驚きと羞恥で声をあげて身体を動かしたなのはの姿に、恭也もはっとしてなのはを抱えていた腕を外していった。

 恭也の腕の中から解放されると、なのはは照れのせいかいくらか赤く染まった頬でぺこりと頭を下げた。

 さっきは動転してしまったが、よく考えたら助けてくれたのだということに気がついたのだ。

「あの……助けて頂いたみたいで、ありがとうございまし――?」

「あ、いえ、お気になさらないでください。大したことは……」

 恭也も動揺の抜けないままに同じく頭を下げる。

 そして顔をあげて少女の顔を見ると、少女は驚きの表情を浮かべたあと、あからさまにほっとした顔をした。

「?」

 初対面ではないかもしれないが、いきなりそんな顔をされたことに恭也は訝しむ。

「なーんだ。ここって海鳴かぁ……。うう、よかったぁ。管理外世界だったら目も当てられなかったよ……」

「管理外世界?」

 恭也がオウム返しのように呟くと、少女はきょとんとした顔をした。

「あれ、知らなかった? 管理局が管理していない世界のことだよ。おかしいなぁ、確か基本的なことはお兄ちゃんにも説明したはずなんだけど……」

 首をかしげる少女を見やりながら、恭也も盛大に頭をひねっていた。

 やはり聞いたことのない単語だ。それに、少女は勘違いしているようだ。確かに自分に妹はいるが、それは決して自分と一つ二つしか違わない少女ではない。

(いや、待て……ひょっとして……)

 自分はあの時の少女を平行世界のなのはではと考えていたはずだ。……とすると、あのなのはにも自分と同じ兄がいて、その兄と自分を勘違いしているという可能性がある。

 ということはやはり、この少女はなのはなのかもしれない。

(しかし、あの時のなのはの年齢を考えると、向こうの俺はかなり年上のはずなんだが……)

 それならばすぐに気づくのではないだろうか。

 それもあってどうにも恭也は自分の考えに自信が持てなかった。

「それにしても、お兄ちゃんなんか若くなってる?」

「………………」

 確かに枯れてるとは言われてきたが、恐らく十は上であろう向こうの自分と一目ではわからぬほどに似ているのだろうか。

 さすがの恭也も少し落ち込んだ。

 だがしかし、今の発言でこの少女があの時のなのはであるという確率は高くなった。

 恭也は我知らず胸が高鳴るのを感じた。

 しかし、まずは確認を取ることが先決だ。意を決して恭也が口を開こうとすると、それを察してか少女はそれを制止した。

「あ、ちょっと待って。連絡を取って、早く戻らなくちゃ」

 出鼻をくじかれた恭也は、とりあえず大人しく従う。何もすぐにいなくなるということはないだろう。どうにも先ほど現れた事象は異常なものに見えた。

 もしそれと似た移動法はあるにしても、あんなに突発的なことにはならないはず。話す時間ぐらいはあるはずだ、と考えて。

「――…………」

 それから少女は身じろぎせずにじっと押し黙ってしまった。

 恭也はただその少女が言う連絡とやらが終わるのを待っていた。

 と、一分ほどたつとその少女は先ほどの落ち着きとは打って変わって、面白いほどに動揺し始める。

 いったい少女の内で何が起こったのか、おろおろと挙動不審な動きで身体を揺すっている。

「え、うそっ、な、なんで!? え、――……や、やっぱり通じない! ど、どうして~!?」

 なんだか非常にテンパった様子の少女を見かねて、というのもあって恭也はどこか控え目に声をかけた。

「あの、すみませんが……」

「え、あ、お兄ちゃん! うう、どうしよお~! アースラと念話がつながらなくって~」

「そのことはよくわかりませんが……」

 いまだに慌てる少女の肩に手を置いて、落ち着かせるようにしてから恭也は口を開く。

「……まず、俺はあなたの兄ではありません」

「……え? あ、でも確かにお兄ちゃんより若い、かも。……じゃあ、本当に違う人?」

「はい」

 恭也の肯定になのはは驚く。

 次いで、何かに気がついたかのようにはっとするが、すぐに頭を振ってその考えを打ち消した。

「で、でもこんなに似てるなんて……」

「そのことなんですが……」

 恭也は確信していた。

 今のなのはの反応。あれは、ひょっとしたら自分と同じなのではないだろうか。

 自分と過ごした一日のことを覚えているからこそ、今の状況を鑑みて何かに気がついたのではないだろうか、と。

 だから、絶対に確認が取れる最終手段を使う。

 恭也はズボンのポケットに手を入れ、今朝方そこに入れたばかりのものを取り出す。

「……これに、見覚えはありませんか」

「!!」

 取り出したのは、わずかに色あせた桜色のリボン。恭也の武骨な手には似合わないそれは、かつてのあの日に少女から渡された大切な品だった。

 そして、恭也はその彼女に指輪を渡したのだ。

「…………ぁ、あの……」

 少女は恐る恐るといった様子で胸元に手を入れる。

 恭也は一瞬何をするのかと動揺したが、それも少女の手に握られていたものを見て消えていく。

 少女の手には、紐に通された小さな子供用の指輪がおさまっていた。

「やはり……」

「そ、それじゃあ……」

 少女――なのはは信じられないとばかりに両手を口元にあてる。

「きょうや、くん……?」

 恭也は力強くうなずいた。

「ああ。久しぶりだな、なのは……」







To Be Continued...?




とりあえず、第三弾。
もうこのまま続き書き始めようかな~、とも思っています。

とはいえ、まだ夏休みのレポートが終わってませんので、これからしばらくはそっちに時間をとると思いますので、いきなり更新できなくなりますが^^;

また次回に続きを上げたら、感想よろしくお願いします。




以下、拍手レス


>うひょ~! きょう×なの 続いてる~~!! さぁ、このままの勢いで…… 
とりあえず、時間ができれば少しずつ書こうかな~とは思っています。また次を上げたら、どうぞよろしくですw

>おおお!?続きが!?……って平行世界かよ!!それじゃくっつかねぇじゃんかYO!!? 
一応、無理やり持ってきました。恭也×なのはでなのはinとらはは、もう某とらは系SS有名サイト様でありますので、かぶらないように気をつけないと・・・^^;

>んん?恭×なの、けっこうあるぞ?短編は10作以上保存してるし、 
>長編も2つ、中篇1つ、18禁1つ(マテ)、中篇のやつは18禁ギリギリだったな、まあ全部とらハだが 
>恭也が主役のリリカルはけっこうあるが、ほとんど完結してない。まあ、大体が朴念仁ハーレム目指してますが
 
そんなにあったんですね・・・。自分は長編2つに、短編が5つくらいしか知りませんでした。
恭也がリリカル世界に行くのは結構見るんですけどね~

>お久です。恭×なのとか面白い組み合わせですね~。続きを期待していますよ♪ 巫女好きウエポン 
お久しぶりですw 男女としての恭也×なのはって割とない気もします。また気力が続けば続き書きます~

>Sin,s Libray のBBSから来ました。50万ヒットおめでとうございます。>アンヅ♂
おお、これはようこそいらしてくださいました! ありがとうございます~^^ 気づけば52万いってて驚きですけど・・・;; またぜひお越しください~
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