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日々のことを徒然と。あと、絵や二次小説も掲載しています。主にリリカルなのは中心です。
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――A Past Day




 それは本当に唐突の出来事だった。


 突然目の前の空間がぱっくりと開いたかと思うと、その切れ目に自分の体は吸い込まれるように投げ出されてしまったのだ。

 声を上げる間もなく意識がなくなり、目を覚ましてみれば小高い丘の草の上。星空を見上げていることから寝転んでいるらしいと自分の状態を悟った少女は、六歳という年齢に見合う小さい体の半身だけを起こしてあたりを見回した。

 見下ろす町は家の明かりで煌いていて、綺麗だった。それ以外には、すぐ近くにお墓が見えることから霊園があるらしいことぐらいしかわからない。

 何となく見覚えがある気もするが、夜のせいかよくわからない。


 ここはどこなんだろう?


 ようやく湧いて来たその疑問に、軽く身体がぶるりと震えた。


 見も知らない土地なのだろうか。だとすれば、自分はこれからどうすればいい。


 漠然とした恐怖と不安に押しつぶされそうになった時。がさ、と草の音がして反射的にそちらを振り向く。

 と、そこには自分よりは一つ二つは年上であろう少年が、こちらを見ていた。


「……こんな時間にどうしたんですか?」


 それはこちらの台詞だ、と心のどこかで思いつつも、その少年の登場にほっと息をついた。

 自分だけではないという安心感を得た。

 それは、本当に嬉しく、心からほっとできるものだったのだ。

「えっと……、わたしにもちょっと……」

「はあ……そうですか」

 自分よりも年上であろう少年が、なぜか自分に敬語で話すことに違和感を持つ。が、まあそういう子もいるだろうと納得した。

 仲良くなればそんな気遣いもなくなるだろうとも思った。


 まあ、とりあえず。

 自分がするべきことは、仲良くなるための第一歩を踏み出すことだろうと幼い少女は考えた。

 そう、まずは自己紹介。

 そこから友達になろう。

 なのはは目の前の少年の手を握って、笑顔を浮かべた。


「わたし、なのは。高町なのはっていうの。あなたは?」


「俺は……――」




























 SIDE-Nanoha




 がばり、となのははベッドから身を起こした。


 懐かしい夢を見た。


 九年前の、忘れられない大事な思い出。家族の誰にも言っていない大切な記憶。

 それが信じられない内容のものであるから、という理由もあるが、それ以上になのはは話したくなかったから家族には話していなかった。

 何となく、である。まあ強いて言えば、自分だけの思い出にしておきたかったといったところだ。

 まあ、いま話せば「へぇ、そんなことがあったんだー」なんて納得してくれそうな気もするが。

 んー、となのはは半身を起した状態のままで欠伸まじりに伸びをした。

 久しぶりにいい夢を見た。

 彼が出てくるなら、それはなのはの中で問答無用にいい夢に指定されるのだった。

「なのはー。今日はいつもよりちょっと遅いわよー。起きてるー?」

「あ、はーい!」

 母からの呼び声に返事を返し、目覚まし代わりにしている携帯の時計を見ると、ぎょっとなのはは目を見開いた。

 確かに、いつもより遅い。目覚ましもスヌーズ機能に入っている。

 と、その瞬間に携帯が再び鳴り始め、なのはは驚いて思わず携帯をとり落とした。

 が、すぐに拾い上げて音を止める。

 ほっとなのはは一息ついた。

「に、にゃはは……。びっくりした……」

 冷や汗を流しながら言うなのはの顔は、ちょっと引きつっていた。

「なーのーはー?」

「あ、はーい! すぐ行きまーす!」

 再びかけられた声に慌ててそう返して、着なれた学校の制服に手を通す。リボンで頭の片側にしっぽを作ると、仕上げとばかりに机の上のものに手を伸ばす。

 九歳の頃からのパートナーで友達の、赤い宝石と。

 子供っぽい安物のリングに紐を通しただけの、幼いペンダントに。

「………………」

 顔をほころばせてそれを首にかけ、一応校則違反なので見つからないように制服の中に隠す。

「よしっ!」

 いつものスタイルになったことを確認して、なのはは心なしか急いで部屋を出た。



















「おはよー、なのは!」

「おはよう、なのはちゃん」

「なのは、おはよう」

「おはようさん、なのはちゃん」

 いつも通りに教室の扉を開けて中に入ると、いつも通りの挨拶を友人たちがかけてくる。

 なのははそれに笑顔で答えた。

「うん。おはようアリサちゃん、すずかちゃん、フェイトちゃん、はやてちゃん」

 それから自分の机に近づき、鞄を置いて席に着く。

 するとそれを見計らったかのように四人が寄って来る。それがなのはたちの朝の習慣であった。

「なのは、相変わらず朝弱いの? いつもあんたが最後じゃない」

 訊くのは活発な少女、アリサ・バニングスである。

 確かに彼女の言うとおり、なのははいつもこの五人の中では最後に登校してくる。小さいころから知っている間柄だけに、そういったことには目ざとく気づくのであった。

 そんなアリサの言になのはは苦笑した。

「今はそんなでもないと思うんだけど……。管理局のほうの仕事もあるから、寝坊だけは本当にすぐに矯正したしね」

「ああ、確かに苦労しとったなぁ~」

「ホントにね」

 昔を懐かしむようにしみじみと言うのは、はやてとフェイトの二人。

 なのはと同じく管理局で働き、三人同士で部屋をとって休むことも多い彼女らは当時のなのはの苦労をよく覚えているのだった。

 まぁ、しかしなのはにしてみればそれはかなり恥ずかしい思い出らしく。

「ち、ちょっと二人とも。そんな微笑ましいものを見るような目で見ないでくれる?」

 到底ふたりの生暖かい視線に耐えられるものではなかったようだ。

「くすくす……。でも確かに最近は寝坊はなくなったよね、なのはちゃん」

 上品に笑いながら言うすずかに、なのはは降参とばかりにため息をついた。

 どうにもみんなは朝に弱い自分をいじりたいらしい、と半ばあきらめ気味でやけくそっぽいため息であった。

 そんななのはの様子に、彼女らは満足したのか今度は少々違う質問を投げかける。

「でも、今日はそれでもちょっと遅かったよね。何かあった?」

 フェイトの何気ない問いかけに、なのはは後日にあれは本当に不覚だったと自省することになる反応を返してしまう。

 フェイトの言葉で朝の夢を思い出したなのはは、ちょっと頬を染めてはにかみ、制服の中のあるものを制服の上から手を当てたのだ。

 その胸に手を当て、赤い頬で小さく微笑んだ姿は……四人の乙女の直感にニュータイプのごとく閃きをもたらした。


「男か!!」

「ふぇ!?」


 大声で叫んだアリサになのはは間の抜けた声でもって答えた。

 ちなみにそのアリサの発言を聞いて、びくっと反応したあとにそわそわと身体を揺らす男子多数。

 いまさらだが、なのはたち五人は皆かなり可愛い。よって、当然男子学生から多大な人気を誇っているのだった。

 はあはあ、照れた姿萌え……。

 そう呟いた少年もいたが、とりあえず彼は周りの友人たちによってフルボッコにされた。

「あ、アリサ! 声が大きい!」

「そ、そや! いくら何でも公開尋問はいただけんて!」

 放っておくとそのままなのはを問い詰めだしそうなアリサを察して、フェイトとはやてがすかさず止めに入る。

 さすがに公衆の面前で色恋について言及されるのは酷だと思ったからだ。

 ちなみになのははその間顔を真っ赤にして固まっていた。

 すずかがなのはの気を取り戻そうと奮闘しているが、今のところその努力が実を結んではいないようだ。


 と、そうこうしているうちに朝のHRの開始を告げるチャイムが響き渡る。

 それを聞いてアリサはようやく力のこもった身体から力を抜く。

 フェイトもはやてもほっとした面持ちでアリサから手を離した。

 しかし、アリサはそんなことで諦めるような女の子ではなかったのである。

「いい、なのは! 昼休みにしっっかりと! 聞くからね!」

 いちいち言葉を切って言い切ったアリサはそのまま、ずしずしと自身の席まで戻っていく。

 そしてフェイトもはやてもやはり好奇心が勝ったのか、もう止める気はないようだった。

 すずかともどもそれぞれの席に戻っていく。

 あとにはいまだに赤みの残る頬をしたなのはが残されるだけだった。

「おーい、出席とるぞー」

 教師の声がHRの開始を告げるが、なのはの心境はもうHRなど完全に思考の彼方に追いやっていた。

 そして、はっと気づく。

(わ、わたし……ひょっとしてピンチ……?)

 それに思い至ると、なのはは今度は顔を青くさせて固まるのであった。



















 そしていくつかの授業を終えた昼休み。

 チャイムが鳴るやいなやフェイトとはやてに両脇を抱えられたなのはは、ずるずると引きずられながら教室を後にすることになった。

 ちなみにアリサは先導していてすずかは最後尾で苦笑を浮かべてついてきている。

 売られていく子牛の気持ちがわかりました、とはなのはの談である。

 そうして連れてこられたのは、すっかり春めいてぽかぽかとした陽気が暖かい屋上。階段はもちろん自力で登りました。逃げようとしたが、フェイトに一瞬で捕まったから早々に諦めたのである。

 基本的に運動が苦手ななのはが、速さが売りのフェイトに敵うわけがないのである。

 とりあえず五人で円を作るように座って、お弁当を広げて、いただきますと言ったところで、アリサがびしっと箸をなのはに向けた。

 ……すぐにすずかに注意されて下ろしたが。仕切り直しとばかりに、アリサはびしっと指を突きつけた。

「さあ! 吐いてもらいましょうか!」

 にやり、と心底意地の悪い笑みを浮かべるアリサは正しく邪悪だった。

「は、吐くって……なんのこと?」

 とぼけてみせるなのはに、アリサはさらにヒートアップして声を大にする。

「決まってるでしょ! 男よ男! 男、できたんでしょ?」

「……できたっていうより、いるんじゃない?」

「そやなー。昔っから、たまにどっか遠く見てる時あったしな、なのはちゃん。今日みたいにあからさまやなかったけど」

「き、気付いてたの!?」

 フェイトとはやての言葉に、なのはは驚いて思わず疑問を口にした。

 そんななのはの様子を、二人は目を見合せて笑う。

「だって……」

「なあ?」

 その態度がバレバレだったと物語っていて、なのはは顔から火が出る思いだった。

「だあぁぁかぁらー! 結局どうなの? 誰かと付き合ってるの? そうじゃないの!?」

 耐えかねたのか爆発したように叫ぶアリサに、すずかはこらえ性がないなぁ、とちょっと呆れた視線を向けた。

 しかしすずか自身も気になるのか、わずかに身を乗り出す。

「それで、なのはちゃん。お付き合いしている人はいるの?」

「そやそや。いい加減あたしらも気になってるんやから。どうなん?」

「わたしも、気になるな。ユーノとかじゃないみたいだし……」


 さあ吐け。


 女三人そろえば姦しいというが、四人そろえば恐ろしいものだとなのはは実感した。

 顔を赤くして、あーうーと声にもならない呻きをこぼして、頬を掻いて目を泳がせるなのはの姿はとても管理局のエースと呼ばれる存在には見えなかった。

 が、ついに決心がついたのか自分を落ち着かせるようにひとつ息をついた後に、しょうがないなぁ、と一言だけ不平を洩らした。

「……詳しいことは言わないよ。それでもいい?」

「えぇー」

 大いに納得のいかない様子のアリサに、ぎろりと殺気のこもった眼で睨むなのは。

 次の瞬間アリサはこくこくと人形のように首を縦に振った。

(あれは怖いよ……)

(さすが管理局の白いあく――)

(はやてちゃん、なに?)

 フェイトとはやての念話に目ざとく気がついて介入してきたなのはに、びくっと震え上がる二人。

(な、なんでもないで~)

(う、うん)

(……そう。ならいいんだ)

 ぷつりとなのはの介入が途絶える。

 ほっと息をつく二人だが、最後に一言だけ念話で互いに伝えあった。

(やっぱり……)

(怖いわな……)

 そしてこれ以上続けるのはもっと怖いので、早々に念話は打ち切ってなのはの話を聞く態勢に入る。

 すずかはもとより話し出すのを持っており、アリサもなのはの話を聞く用意を整えている。

 膝の上に広げたお弁当は一切無視して。

 とりあえずなのはは咀嚼していた卵焼きを飲み込む。それからゆっくりと口を開いた。

「まず言っておくけど、付き合ってはいないよ。それどころか、会ってもいない」

「え、ネットとかそういうん?」

 会っていないという発言からだろうはやての言葉に、なのはは勘違いさせたらしいことに気がついて言いなおした。

「違うよ。小さい頃に一度だけ会っただけなの。それ以来会っていないってこと」

「……そういえば、小学校の頃からたまにぼーっとしてた時あったわね」

「わたしやアリサちゃんと仲良くなった時にはもうそうだったかな……?」

「わたしが彼と会ったのは、六歳になって少しした頃。だから、アリサちゃんたちと友達になって一年たつかどうかって頃かな」

「結構、昔なんだね」

 フェイトの言葉に、なのははそうだねと笑って返す。

 そうしてなのはは丁寧にウインナーをつまんで口に入れる。と、アリサが何やら唸っているのが見えた。

「どうしたん、アリサちゃん」

 はやてが問いかけると、アリサは唸りながら返事を返す。

「うーん……いや、確かその頃に何かあったような…………っあ!」

 思い出した、とばかりにアリサは手をたたいた。

「なのはの一日失踪事件!」

「あ、そんなこともあったね!」

 アリサの言葉にすずかも思い出したのか、ぱちんと両の手をたたいた。

「なにそれ、なんなん?」

「なのはの一日失踪事件?」

 対してはやてとフェイトは頭上にクエスチョンマークを浮かばせている。

「そっか。二人はまだいなかったもんね」

 アリサがそういえばといった様子で言うと、それに続いてすずかが二人に説明する。

「小学一年生の最後のほうなんだけどね。突然なのはちゃんがいなくなったの。学校からは帰ったのに、家にいない。町を探してもいない。私やアリサちゃんも探したけど、どこにもいなかったの。
 けど、次の日の夜にいきなりなのはちゃんが家に帰ってきたらしいの。今までどこにいたんだ、って聞いても答えてくれなくて……どれだけ聞いても絶対に教えてくれなかったから、結局そのままになったんだよね?」

 すずかの説明に、アリサは腕を組んでうんうんと頷いている。

 フェイトとはやては、目を丸くしていた。

「そんなことがあったんだ……」

「はー、なんやなのはちゃんも結構波瀾万丈な人生やね」

 そのはやての言い方に、なのははごはんを口に含んだまま苦笑した。

 確かに言われてみれば、わりと波乱万丈な人生な気がする。まあ、魔法なんてものに関わっている時点でこの世界では普通の人生とは言えないだろう。

 そしてしっかりと口の中のものを嚥下してから、口を開く。

「ん……まあ、お話はその時のことなんだけどね。わたしはその時、ある男の子と会ったの。突然の出来事で不安になってたわたしを慰めて、安心させるようにしてくれた。
 それから、ちょうどお祭りの日だったらしくて縁日に連れて行ってもらって。ずっと遊び回って、その子のお父さんに怒られて。でもすごくよくしてもらって……」

 その時の情景を思い返しているのか、なのははたまに見せる遠い目をする。

「それで、その一日の終わりの時。お別れの時にわたしはリボンをあげて、その男の子はこれをくれたの」

 お箸をおいて、制服の胸元を少し緩めて手を差し入れる。

 そして取り出したのは、紐に通された子供用の小さなリング。

 それを愛おしそうに手の平に乗せてなのはは続けた。

「『父さんに聞いた話だと、指輪を女の子に渡すのは親友の証らしい。だから、これを渡す。また会えるように』って言って。今思えば、その子お父さんに騙されてたんだね」

 くすくすと可笑しそうに笑う。

 フェイトたちもその微笑ましさに思わず笑みがこぼれた。

 女の子に指輪を渡すということは、恋人とかプロポーズだとか、とにかく特別な関係になるということだ。ろくなことを教えない父親だとは思うが、それをそのまま信じてしまったその男の子の純粋さが微笑ましかった。

「それで、その子の名前はなんていうの?」

 アリサの質問に、なのはは首を横に振ることで答えた。

「へ? ひょっとして知らないとか?」

「ううん。知ってるけど……ごめんね、言えないの」

「どうして?」

 今度はすずかからの疑問の声だった。

「言えないから。そうとしか言えない。彼の名前は、ちょっと特別な意味があるから」

 特別な意味? と全員が首をかしげたが、なのはにとって大事なことらしいので無理にでも聞きだそうとは思わない。

 四人の考えはそれで一致していた。

 そんな皆の優しさに微笑みながら、なのはは話を続ける。

「……男の子からもらう指輪の意味。今でこそその意味がわかるけど、その時はわたしもその子も本当にそういう意味で取ってたからね。すごく大事にして、いつでも持ってられるようにペンダントにしたんだ」

「へぇ~……って、なのは。指輪の意味がわかるってことはじゃあ……」

「うん。まあ、そういうことかな」

 今でこそ指輪の意味がわかる。それでもなお身につけ続けているということは、なのはがその男の子に特別な思いを抱いているということに違いなかった。

 かすかに照れながらもなんだか幸せそうななのはの笑顔に、アリサやはやてたちは毒気を抜かれたように脱力した。

「……なんや、かなわんなぁなのはちゃんには」

「うん。すごくいいお話だった。なのはは、ずっとその子を思い続けてるんだね」

「だからアリサちゃん、からかっちゃダメだよ」

「う……わ、わかってるわよ!」

 それぞれがそれぞれの反応を返して、わいわいと騒いでいる中、当のなのははゆっくりとお弁当箱をしまい、両の手の平を胸の高さで合わせる。

 その仕草に四人がふと気を取られて、なぜか注目してしまう。

 そして――、


「ごちそうさまでした」


 キーンコーンカーンコーン。


 昼休みの終わりを告げるチャイムが鳴り響いた。

 手の平を合わせたままのなのは。

 唖然となった四人。

 止まった時間。

 しかし、実際に時間が止まるわけなどなく。


 再び、時は動き出す。


「「「「えええええええええええええ――――ッ!?」」」」


「ちょ、まだ食べ終わってへんねんけど!?」

「ああ、わ、わたしも全然――!」

「な、なのはちゃんのお話に夢中になっちゃって……」

「ああもう、時間ないじゃないのよぉ――ッ!」

 途端に慌てだす友人たちに小さく微笑みを洩らして、なのははさっさと食べ終わったお弁当箱を持って立ち上がる。

 そして屋上の出入り口に向かって歩き出した後ろ姿に、様々な声が投げかけられる。

「ま、待ってぇな、なのはちゃん! 教えてくれてもよかったやん!」

「お、お腹すいた……」

「うう、授業始まっちゃうよぉ」

「なーのーはぁー!」

 それぞれの性格を表すかのような声を背中で受けながら、なのはは制服の中から出されて胸元に光るリングを指でつまんだ。

 何度となく触れた、指になじむ感触がする。

 それを感じながら、懐かしいあの時の記憶をそっと思い返す。

 そして気づけば、彼の名前が口をついて出ていた。

 九年前のあの日、絶対に誰にも言わない。誰にも言えない、と誓った彼の名前が。



「今どうしてるのかなぁ、恭也くん……」












To Be Continued...?








ついカッとなってやった。反省はしていない。

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